2022.07.06
大丈夫?女性活躍推進法に基づく行動計画の義務化の拡大
はじめに
「改正女性活躍推進法」では、常時雇用する労働者が301人以上の企業に対して、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定が義務づけられています。
令和4年4月1日から、101人以上300人以下の中小企業にも策定・届出と情報公表が義務化されます。
この記事では一般事業主行動計画についてご説明していきます。
1.女性活躍推進法とは?
正式には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」で平成28年4月1日に施行されましたが、10年間の時限立法です。
女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、男女の人権が尊重され社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的としています。
女性の職業生活における活躍の推進は自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮し、職業生活において活躍すること、男女の職業生活と家庭生活との円滑で継続的な両立が可能となることなど、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意し行わなければなりません。
2.一般事業主行動計画の策定・届出
企業が自社の女性活躍に関する状況把握と課題分析を行い、それを踏まえた行動計画を策定するものです。
行動計画に定める事項は、計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施時期です。
計画の策定等にあたっては、基礎項目に基づいて自社の女性の活躍状況を把握し、改善すべき事情を分析した上で、その結果を反映しなければなりません。
基礎項目は下記の通りです。
・女性の採用割合
・男女の勤続年数の差異
・女性の管理職比率
・労働時間の状況
一般事業主行動計画を策定後は、その内容を社内に周知・公表した上で、都道府県労働局長に届け出なければなりません。
3.女性の活躍に関する情報公表
自社の女性の活躍に関する状況について、以下の項目から1項目以上選択し、求職者等が簡単に閲覧できるように情報公表してください。
①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
・採用した労働者に占める女性労働者の割合
・男女別の採用における競争倍率
・労働者に占める女性労働者の割合
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性労働者の割合
・役員に占める女性の割合
・男女別の職種または雇用形態の転換実績
・男女別の再雇用または中途採用の実績
②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
・男女の平均継続勤務年数の差異
・10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・男女別の育児休業取得率
・労働者の一月当たりの平均残業時間
・雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
・有給休暇取得率
・雇用管理区分ごとの有給休暇取得率
4.「えるぼし」認定・「プラチナえるぼし」認定
一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした場合は「えるぼし」に認定されます。
「えるぼし」に認定されている企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合は、「プラチナえるぼし」に認定されます。
認定取得をすると下記のメリットがあります。
・認定を受けた企業は厚生労働大臣が定める認定マーク「えるぼし」または「プラチナえるぼし」を商品や広告などに記載することができ、女性活躍推進企業であることをPRすることができます。
そのことにより、優秀な人材の確保や企業イメージの向上につながることが期待できます。
・認定を受けた企業は、公共調達の加点を受けられます。
・プラチナえるぼし認定を受けた企業は、一般事業主行動計画の策定・届出が免除されます。
5.まとめ
今回の改正で、女性の活躍が一層求められていると考えられます。自社の状況把握・分析を踏まえ、行動計画の策定やえるぼし認定の申請を絵に描いた餅にならないように進めていただけたらと思います。