2022.10.31
くるみん認定をご存じですか?認定を受けるメリットとは
現在、急速な少子化の進行を踏まえ、次の世代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境をつくるため、国、地方公共団体、企業、国民が一体となって対策を進めることが重要となっています。
今回、ご説明するくるみんは、次世代育成支援対策推進法に基づいた行動計画を策定し、目標を達成するなどの要件を満たした企業を「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定している制度です。
1.くるみん何の略?
認定マークを周知するため、愛称を一般公募し、「くるみん」に決定しました。
・赤ちゃんが大事に包まれる「おくるみ」と、「職場ぐるみ・会社ぐるみ」で子どもの育成に取り組もう、という意味が込められています。
・マークのイメージとして、子どもが優しく“くるまれている”というあたたかい印象が強いこと。企業(会社)“ぐるみ”で、仕事と子育ての両立支援に取り組むこと。これらの考えから、“くるむ”⇒“くるみ”⇒“くるみん”となりました
2.次世代育成支援対策推進法とは
急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化にかんがみ、次世代育成支援対策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業主及び国民の責務を明らかにするとともに、行動計画策定指針並びに地方公共団体及び事業主の行動計画の策定その他の次世代育成支援対策を推進するために必要な事項を定めることにより、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進し、もって次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することを目的としています。
この法律は、2005年に施行された法律です。この法律に基づき、国、地方自治体、企業は次世代育成支援のための行動計画を策定することが求められています。同法は2005年から10年間、つまり2015年までの施行という時限立法でした。しかし、子どもが育成される環境をさらに改善、充実させる必要があるとされ、2025年まで延長されました。
次世代育成支援対策推進法に基づき、企業は、労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することとなっています。常時雇用する労働者が101人以上の企業は、行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出ることが義務です。100人以下の企業は努力義務となっております。
そしてこの行動計画を達成し、基準をクリアした会社は、くるみん認定を受けることができます。
3.令和4年4月1日改正について
令和4年4月1日より認定制度が改正されます。
①男性の育児休業等の取得に関する基準が改正
男性の育児休業等取得率が7%以上から、10%以上となります。
男性の育児休業等、育児目的休暇取得率が15%以上から、20%以上となります。
②認定基準に、男女の育児休業取得率等を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することが新たに加わります。
4.認定基準は?
認定を受けるためには、10項目の認定基準をすべて満たす必要があります。
上記の法改正の内容を踏まえたうえで、くるみん認定を受けるための認定基準を説明いたします。
①行動計画策定に照らし適切な行動計画を策定すること
行動計画には、行動計画策定指針の「六 一般事業主行動計画の内容に関する事項」の「雇用環境の整備に関する事項」に示された以下の項目のうち、1項目が盛り込まれている必要があります。
・妊娠中の労働者及び子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立等を支援するための雇用環境の整備
・働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備
②行動計画の計画期間が2年以上5年以下であること
③策定した行動計画を実施、計画に定めた目標を達成したこと
申請にあたり、計画に定めた目標を達成したことを証明する資料を添付する必要があります。
④策定・変更した行動計画について、公表及び労働者への周知を適切に行っていること
行動計画策定後、策定日からおおむね3カ月以内に、公表、周知を行いましょう。
・公表
厚生労働省が運営する女性の活躍・両立支援総合サイト「両立支援ひろば」への掲載、自社のホームページなど
・労働者への周知
事業所での掲示や備え付け、労働者へ配布、メール送信、イントラネット(企業内ネットワーク)など
⑤次のどちらかを満たしていること
・計画期間において、男性労働者のうち育児休業等を取得した者の割合が10%以上であること
・計画期間において、男性労働者のうち、育児休業等を取得した者および企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した者の割合が、合わせて20%以上であり、かつ、育児休業を取得した者が1人以上いること
⑥計画期間において、女性労働者の育児休業等取得率が、75%以上であること
⑦3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等に措置に準ずる制度」を講じていること
⑧計画期間の終了日の属する事業年度において次のいずれも満たしていること。なお、認定申請時に既に退職している分母、分子にも含みません。
・フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること
・月平均の法定労働時間外労働60時間以上の労働者がいないこと
⑨次のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施していること
・所定外労働の削除のための措置
・年次有給休暇の取得の促進のための措置
・短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
⑩法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと
5.マークはどんなところに使えるの?
くるみんの認定を受けることで、認定マーク(くるみんマーク)を商品、広告、求人広告などに着け、子育てサポー企業であることをPRすることができます。
くるみんマークにある数字は認定年度、星の数は認定回数を表しています。
また、令和4年4月からくるみんマークが改正されます。
マークについては、決まり次第公表されます。
6.くるみん助成金とは
令和3年10月から令和9年3月末まで中小企業事業主を対象に要件を満たした場合、助成金が支給されます。
助成額は50万円となります。
対象となる事業主は、以下の要件をすべて満たす必要があります。
・中小企業子ども・子育て支援環境整備助成金事業
①子ども・子育て支援法に規定する一般事業主(=事業主拠出金を納付している事業主)であること
②前年度または当年度(助成申請期間まで)において、くるみん認定受けたこと
③次世代支援対策推進法に規定する中小企業事業主(=常用雇用する労働者数300人以下の事業主)であること
※1回のくるみんの認定につき、1回の助成を行われます。(申請が必要です。)
令和3年度の受付は終了しております。
令和4年度の申請受付期間は、決まり次第公表されます。
7.まとめ
くるみん認定を既に受け、より高い水準の取組を行った企業が、一定の要件を満たした場合に、優良な 「子育てサポート」企業として厚生労働大臣特例認定(プラチナくるみん認定)を受けることが出来ます。
次回、プラチナくるみん認定について説明をしていきます。