2026.08.14
「これ、もっと簡単にできない?」をAIでカタチに。ーAIM1グランプリ金賞の舞台裏ー
HALZでは、社員自身がAIを使って業務改善につながるアプリをつくり、日々の仕事をより効率的に、より便利にしていくことを目指して「AIM1グランプリ」を開催しました。今回のAIM1グランプリで金賞に輝いた上村智世さん。受賞作は、労働基準監督署の調査前に、企業の労務管理上のリスクを確認し、改善につなげる「監督署調査事前セルフチェックツール」
実は上村さん、AIを使ったのは今回がほぼ初めて。入社直後の挑戦でした。

Q.金賞受賞、おめでとうございます。率直な感想は?
A.正直、今でもあまり実感がありません。
4月1日に入社して、いきなり東京出張。その中で「AIを使ってアプリを作る」という課題に取り組みました。
私はもともとパソコンが得意ではなく、Excelの関数も苦手です。AIもほとんど使ったことがありませんでした。だから「優勝できるか」以前に、「本当にアプリなんて作れるの?」というところからのスタート。まさに手探りでした。
Q.AIM1グランプリには、どんな目的があったと思われますか?
A.社労士の仕事には、時間や手間のかかる業務があります。そこをAIで効率化し、今までより良い仕事につなげることが大きな目的だったと思います。単に社内の業務を効率化するだけでなく、お客様や他の社労士事務所などにも提供できる可能性のあるものを、社員自身がAIを使って形にしていく。そんな取り組みだと感じました。
Q.今回のツールは、どんな課題から生まれたのですか?
A.テーマ自体は、入社前に名古屋支社の坂さんが出していたものです。その中から選んだのですが、決め手になったのは、私自身の経験でした。
私は社労士として15年以上仕事をしてきました。その中で、労働基準監督署の調査にも携わってきました。調査前には、お客様の就業規則や賃金台帳、出勤簿などを確認し、問題がないかヒアリングします。企業によっては3~4時間、場合によっては半日以上かかることもあります。「この事前チェックを、もっと効率よくできないか」そこから生まれたのが今回のツールです。
Q.どのようなツールなのでしょうか?
A.監督署の調査で確認される項目をもとに、企業の状況を質問形式で確認していきます。例えば、就業規則や36協定、労働時間、割増賃金などについて回答すると、リスクのある部分が分かる仕組みです。目的は法違反を隠すことではなく、調査前に会社の実態を把握し、「今のうちに改善できるところは改善する」ためのものです。
Q.AIを使ってみて、一番驚いたことは?
A.「こんなに簡単に形になるの?」ということです。「こういうアプリを作ってほしい」とAIに指示すると、どんどん形になっていく。修正したいところを伝えれば、また修正してくれる。自分で作るなら何時間、何日とかかると思っていたものが、短時間で形になっていくことには本当に驚きました。
一方で、セキュリティ上の制約から、当初目指していた「是正報告書の作成」までを実現することが難しいと判明。そこで方向転換し、調査で確認される項目を洗い出して質問数を増やすなど、事前チェックツールとしての完成度を高めました。
Q.AIによって、これから仕事はどう変わると思いますか?
A.自分が苦手な作業や、単純な作業はAIに任せていいと思います。
例えば私はExcelの関数を組むのが苦手ですが、「こういう管理表を作って」とAIに伝えれば、数分で形にしてくれます。これまでなら自分で調べたり、得意な人にお願いしたりして、その人の時間を使っていたかもしれません。AIによって、まず自分で形にしてみることができるようになりました。ただ、人がいらなくなるということではないと思います。
Q.では、AI時代に「人にしかできないこと」とは?
A.「経験」だと思います。例えば、実際に監督署の調査に立ち会い、監督官からどんな質問をされたのか、どんな点を見られたのか。そういった経験はAIにはできません。AIは世の中にある情報をもとに答えることはできますが、実際に現場を経験して得られる「肌感覚」までは持っていません。だからこそ、人がこれまで積み重ねてきた経験や知識をAIに落とし込んでいくことが、人にしかできない大切な役割なのではないでしょうか。
Q.最後に、これからAIM1グランプリに挑戦する社員へ向けてメッセージをお願いします。
A.特別なAIの知識がなくても、まず触ってみることが大事だと思います。私自身、ほぼ初心者からのスタートでした。そして大切なのは、「経験」と「感性」だと思います。普段の仕事で「これ、ちょっと面倒だな」「もっと簡単にならないかな」と感じることはありませんか?そういう小さな「不快」や「煩わしさ」に気づくことが、AI活用のスタートになると思います。私はそれを「不快を快にする」と考えています。
自分が経験してきたことや身につけた知識、そして「ここ、もう少し何とかならないかな」という感覚。そうした「経験」と「感性」をAI活用につなげていくことが大切だと思います。


